第3回「雨のち晴天あり」2015/2/4掲載

うりずんの雨、昨年の我が家には彩るてるてる坊主が空を見上げていた。


熱狂した雷様のロックンロールショーにより突然の落雷。
息子は恐怖 でトラウマ化し「何で雨はふるの、雷はなるの?」毎朝泣きの登園拒否を始める。

励ましなだめ、時に突き放し私なりの方法を尽くすも、小さな 心に張り巡る雨雲を追いやれないまま立ち止まっていた。

そんな時、尊敬なる詩人谷川俊太郎氏が人々の質問に答えるお気に入り本の一ページ “不安を抱えた幼子を持つ母への言葉”を思い返す。


「僕が○○ちゃんのお母さんだったらぎゅーっと抱きしめて一緒に泣きます。そのあとで 一緒にお茶します。言葉で問われた質問にいつも言葉で答える必要はないの。こういう深い問いかけにはアタマだけじゃなくココロもカラダも 使って答えなくちゃね(省略あり)」


谷川さんに励まされ、それからは忙しい朝も少し早起きし息子とただ外を眺めてみたり母も雷が苦手な事、誰にだって雨に泣きたくなる日もあると腕の中語り合った。

子供大人に限らず不安からの脱出には力と時間が要る。

改めて気付かされた時、歌が生まれた。

“ヒューマ ンソング山ほどの谷ほどの日々を臆病に生きたっていい。必要なそれが弱さならヒューマンいつか誰かを守れるのだから。山ほどの谷ほどの日々は 似たようなアナタの為に。必要な強さとなるならヒューマンそんな私も悪くはないな”


恐れを知り雨宿りしながら踏み出す一歩は力強い。歩む道すがら多様な課題は降り注ぐ。

自問自答、どんなテーマも芽が出て花が咲く頃には誰かのお役に立てるかもしれない。 

臆病なヒーローは雨にも負けず雷にも負けず日々登園中。

自信に満ちた4歳児にあっぱれ‼︎

長かった心の雨模様も梅雨明け宣言と共に陽が差し込む。アナタの空も見渡せば、雨上がり。 


神谷千尋(唄者)

神谷千尋「落ち穂」連載アーカイブ

2015年1月〜6月の半年間、琉球新報誌面に掲載された神谷千尋のコラムを記録します。

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